佐藤支部長の本業の関するトピックス紹介

「第5世代移動通信システム(5G)の近況」

2017年3月に、台湾・新竹市で開催された「第5世代移動通信システム(いわゆる5G)に関する国際ワークショップ(写真参照)」に参加し、通信業界のみならず、農業や建設業を含んだほぼ全ての業界が5Gを中心に回り始めた(又は始めている)と感じました。

これは、5Gのターゲットが、スマホが目指す高度化モバイルブロードバンドだけではなく、超信頼・低遅延通信や大規模マシンタイプ通信をも包含しており、且つ各々目標とする要求条件も異なっていることに起因していることだと認識しています。

従って、5Gは移動業界に変革をもたらすだけでなく、様々な業界も巻き込んだ大きな変革になるだろうと大いに期待しています。

5G Day 2017 in Taiwan

会員の活躍 vol.001: 佐藤孝平(修A50)さん

‘移動通信サービス’の高度化実現に向け、国際的に活躍する佐藤孝平さんの紹介

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佐藤孝平(修A50)さんは、大学卒業後NTT研究所にて、衛星通信システムのための電波伝搬特性の研究並びに移動体衛星通信システムの研究開発に従事しながら、国連機関である国際電気通信連合(*1)の無線通信部門(*2)における移動体衛星通信の標準化並びに国際アライアンス活動に従事してきました。

平成14年(2002年)からは、社団法人電波産業会(現一般社団法人電波産業会(*3))の役員(現在は参与)で、通信分野における新たな電波利用システムの研究開発や技術基準の国際標準化等を推進する我が国の中心的なリーダーとして活躍しています。

20140923_AWG-17会合での議長就任挨拶x

私たちの実生活における移動通信サービスは、古くは1970年代の自動車電話やショルダーフォンサービス(第一世代:1G)から始まり、現在は、携帯電話やiPhone等のスマートフォンによる大変便利で生活に欠かせないサービス(主に第三世代:3G~3.9G)として広く普及しています。

この30年ほどの間に、これらの便利で高度なサービスを実現するための技術開発や事業化推進が国内はもとより世界的な規模で急激に進められてきました。

このような事業環境に於いて、佐藤さんは、総務省からの要請により、主に国内外の標準化活動及び各国間の標準規格調整業務を我が国の代表として推進してきました。

現在は、第5世代モバイル推進フォーラム(*4)の事務局長として、第5世代移動通信システム(いわゆる5G)の早期実現(実用化:2020年目標)を図るため、関連する研究開発及び標準化に係る調査研究・関係機関との連絡調整・情報の収集・普及啓発活動等をリードしています。

5Gでは、‘光通信を超える未来の無線通信サービス’を目指し、人工知能(AI)や「バーティカル・プレーヤー」と呼ばれる様々な産業界との連携、公共インフラや社会資本への組み入れ等、現在のサービスに比べて格段に高度なサービスを実現することが期待されています。
(なお、5Gの具体的なサービス内容等は後日別途紹介予定)

佐藤さんは、これらの功績により平成28年4月27日に天皇・皇后両陛下主催の春の園遊会へ招待されました。

〔佐藤さんの言葉〕

毎年6月または7月の「山形大学大学院理工学研究科 電気電子工学特論・電気電子工学特別講義」の時に、NTT、NTTドコモ並びにARIBでのこれまでの経験・活動を通じて感じた下記4点を「まとめにかえて」ということで大学院生たちに伝えています。

  • 若い時に失敗を恐れずたくさんの実務を経験すること。
  • 自分の得意分野(専門)・技術を早く身に付け他にアピールすること。
  • 良い先輩・同僚(部下でも結構)をたくさん作ること。
  • 幅広い人脈を形成すること。

*1 国際電気通信連合:国際連合の専門機関の一つ.
➡ITU(International Telecommunication Union)
*2 無線通信部門:➡ITU-R(ITU-Radiocommunications Sector)
*3 一般社団法人電波産業会:
➡ARIB(Association of Radio Industries and Businesses)
*4 第5世代モバイル推進フォーラム:
➡5GMF(The 5th Generation Mobile Communications Promotion Forum)


【佐藤孝平氏の略歴と業務概要】
・1975年4月、日本電信電話公社(現、(株)NTT)入社
・1985年以降、ITU-Rの移動体衛星通信標準化、IMT-2000の国際アライアンスに従事
・1989年3月、京都大学より工学博士号を授与
・1992年7月、現(株)NTTドコモ研究開発部に転籍
・2001年3月、ドコモ欧州研究所(ドイツ)の初代代表取締役社長に就任
・2002年7月、社団法人電波産業会(ARIB)・理事に就任
・2005年2月、ARIB・常務理事
・2015年7月、ARIB・標準化統括担当参与、現在に至る
 〔業務概要〕
・ARIBでは、標準化統括担当参与として国際業務を統括
・総務省情報通信審議会の専門委員でIMT-WGの主任
・世界電気通信標準化協調会議及び日中韓情報通信標準化会議にARIB団長として参加
・2014年9月のAWG(APT Wireless Group))第17回会合で議長に就任
(AWG議長として、アジア・太平洋地域無線通信システムの高度化と普及促進を推進)
・2015年6月から、5GMFの初代事務局長